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気になる医療・トクする情報(26)
寒い季節はぎっくり腰にご用心

医学博士・健康科学アドバイザー
福田千晶

( 2016/12/26 )

ポイント

  • 日増しに寒くなる季節、首・肩・腰のこりや痛みを感じやすくなります。
  • 特に、仕事や家事に追われる年末年始は、多くの女性が腰の痛みを感じ、ぎっくり腰になる人も少なくありません。
  • 腰痛・ぎっくり腰の原因は一つではなく、体の冷えやちょっとした悪い姿勢や動作の積み重ねが引き金になります。
  • 忙しいときだからこそ、ひと呼吸置いて、自分の体の動かし方を見直してみましょう。

 20~50代の女性で、腰の張りや痛みをいつも感じている人は約50%に上ります。特に気温の下がる冬に腰の痛みを感じる人が多くなります。また、ぎっくり腰になった人、ぎっくり腰になりそうで怖いという30代以上の女性は7割を超えています。寒さが本格化するこれからの季節、腰を痛めないためには、まずその原因を知ることが大切です。


年末年始は、腰に負担のかかるイベントが盛り沢山

 気温が低いことが、腰にさまざまな負担をかける原因となります。

 まず、寒くなると、人間は体の中心の体温を下げないようにするために、体の表面に近い細い血管(末梢血管)を収縮させます。手先足先が冷たくなるのはこのためです。血行が悪くなるため、全身の筋肉に酸素や栄養が十分に届かなくなり、老廃物が滞ってしまい、“こり”を感じるようになります。こむら返りのように脚の筋肉がつるのも、こりが一つの原因ですし、同様に腰の周りの筋肉もこるのです。

 こうした中で、いつもと違う出来事が多くなるのが年末年始です。例えば、忘年会や新年会では、椅子や座敷に長い時間、同じ姿勢でいることが間々あります。そのため宴会が終わり立ち上がったときに、腰がぎくっとする恐れがあります。お酒を飲んで温まった体も、寒い屋外に出れば筋肉がこわばります。終電が近いからと、小走りになったり、電車の中で網棚に荷物を上げたりした瞬間に、腰を痛めることもあります。

 女性は、ヒールの高い靴を履くと、坂道を下りる姿勢、つまりちょっと後ろに反り気味の姿勢で歩くことになるので、腰に負担がかかります。コートなど衣服が重くなることも負担になります。こうした、ちょっとした腰への負担の積み重ねが、腰痛やぎっくり腰の原因になるのです。

 大掃除にも、注意が必要です。休みの日に、疲れが残っているのに朝から張り切って家具を動かしたり、重いものを持ち上げたり、あるいは高いところに手を伸ばしたりすることは、すべて腰への負担になります。

 帰省でも腰を痛めることが少なくありません。仕事の関係で日程が厳しいと、疲れが取れないまま帰省することもあります。小さな子どもがいる場合、荷物の数を少なくしたいと考えますから、大きなスーツケースに一家の着替えやお土産をぎっしり詰め込みます。普段、持ったことのない重さの荷物を運ぶことになり、腰だけでなく全身に負担がかかります。さらに、混雑する中で不安がる子どもを長い時間抱っこし、腰が痛くなることもあります。

動作の前にひと呼吸、慌てず全身の筋肉を上手に使う

 体を動かすときには、ひと呼吸置いてから、動きましょう。

 寒いと、どうしても慌てがちで、手順を踏まない動作が多くなります。椅子に座っていて、床に物を落としたとき、座ったままそれを拾おうとすると、腰に大きな負担がかかります。ぎっくり腰になる原因の一つです。立ち上がり、かがんで拾うようにしましょう。大掃除などで、重いものを持ち上げる必要があるときも同じです。腰だけ曲げて荷物を持ち上げるのではなく、十分に腰を落として荷物を持ってから、脚の力で立ち上がるようにします。

 いずれも、腕や背中の筋肉だけでなく、脚、腰、腕など全身の筋肉を上手に使う動作になります。ひと呼吸置いて、体全体で動こうと意識することが大切です。

 年齢が上がるにつれて、体は少しずつ衰えていきます。若いときにスポーツに打ち込んだ人ほど、30代、40代になって、関節などを痛めることが多いのです。かつてのイメージのままに体を動かしたつもりでも、筋力が衰えているために、体を支えられずに転倒したりして、腰や膝の関節を痛めてしまうのです。

 最後に、ぎっくり腰になったときの対策です。痛みがある間は、安静が原則です。仰向けに寝ると痛むので、横向きになり、膝を抱えるような姿勢で寝ましょう。痛みが治まるまでは冷湿布などで腰を冷やします。更に痛みが増してしまうことがあるので、熱いお風呂や飲酒は控えます。痛みが取れたら、少しずつ体を動かすようにします。ただ、体が硬くなっているので、無理はしないように。痛みが激しければ医療機関を受診しましょう。

 体の冷えや、自分の体の動き方をいつも意識しながら、寒い季節を楽しく快適に過ごしてください。

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福田千晶

医学博士・健康科学アドバイザー

1988年、慶應義塾大学医学部卒業、医師国家試験合格。医師として東京慈恵会医科大学リハビリテーション医学科勤務。1995年、学位(医学博士)取得。1996年、東京慈恵会医科大学退職。以後、フリーランスの健康科学アドバイザーとして、全国各地での講演および執筆を主体に活動。NHKテレビ「首都圏ネットワーク」、TBSテレビ「はなまるマーケット」、日本テレビ「おもいッきりテレビ」、TBSラジオ「生島ヒロシの健康広場」など、テレビ・ラジオ出演多数。また、富坂診療所嘱託医として巡回健康診断を担当。2007年、医師として上尾中央医科グループ 天王洲シーフォートクリニック(2013年3月まで)およびアルシェクリニック(大宮)にて外来診療を担当。

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